コラーゲン事業部
製造部部長

飯塚孝

モノづくりケーシング

コラーゲンケーシングづくりで
“より良く”を重ねていき、
消費者の選択肢とよろこびを広げていく。

ソーセージの最適解に応える、
ニッピのコラーゲンケーシング。

コラーゲンを可溶化する技術によって誕生した、可食性コラーゲンケーシング(ソーセージの皮)。衛生的で安全性が高く、汎用性と均一性に優れ、充填装置への適性もある。コラーゲンケーシングは、これまでの当たり前をより良く進化させながら、ハム・ソーセージメーカーの製造環境の改善と、消費者にうれしい商品づくりの両立を支えている。

INTERVIEW

コラーゲンでできた
ソーセージの“第3の皮”。

ケーシングとはソーセージの原料を詰める袋、いわゆるソーセージの皮のこと。従来は、羊腸などを用いた天然腸ケーシングや、セルロースなどを用いた非可食性ケーシングが一般的だった。しかし、天然腸は前処理工程が必要で、品質やサイズの均一化も難しいという課題があり、非可食性ケーシングには剥く手間やゴミが出るといった課題があった。そこで、「可食性のコラーゲンケーシングがあれば、より良い製造環境と商品づくりが実現できるのでは」という発想から生まれたのが、牛由来タンパク質を利用したニッピのコラーゲンケーシングだ。
筒型で、フィルムのような手触りを持ち、蛇腹状に折りたたまれたものを伸ばすだけで中身を充填できる仕様になっている。「衛生的で安全。約3年間の保管が可能です。品質やサイズが均一で扱いやすく、歩留まりの良い長さに調整できるほか、高速充填にも対応できます」と語るのは、コラーゲン事業部 富士宮工場 製造部の飯塚孝。「薄さ、長さ、太さ、色など、お客様のニーズに応えながら製造するコラーゲンケーシングは約300種類にのぼります。キャラクターなどをプリントしたケーシングは、ニッピならではの技術です」

営業、製造、顧客の連携が生む開発の循環。

ニッピのケーシング事業は、1960年、当時は不溶性タンパク質とされていたコラーゲンを可溶化する技術を発明し、特許出願したことから始まった。1970年には、コラーゲンケーシング専用工場として富士宮工場(静岡県富士宮市)を設立し、製造・販売を本格化。1995年には芝川工場(当時:静岡県富士郡芝川町)、2016年には富士宮第2工場を新設するなど、事業基盤を段階的に拡充してきた。長年にわたり独自に開発してきたオリジナル設備と、富士山の潤沢な天然水。その両輪がニッピのケーシング製造を支えている。
現在、ニッピは国内唯一のコラーゲンケーシングメーカーであり、販路は30か国以上。世界最大手メーカー4社のうちの1社でもある。
「コラーゲンの加工技術、盤石な製造設備によって築いてきたポジションですが、強みはハードだけではありません」と飯塚は語る。「営業課が引き出してくるお客様の要望を迅速に検討し、フィードバックする。そのコミュニケーション体制こそが、良質な製品を提供する土壌になっています」
営業、クライアントと密に連携しながら、難題を一つひとつクリアしていく。それが飯塚率いる製造部のスタイルだ。そこで得られる確かな手応えと経験が、次の開発への自信となり、モチベーションへとつながっている。

より良いものを
無駄なくつくるリレー。

「できるだけ長いケーシングをつくってほしい」「スピーディーに充填できる特殊なケーシングはできないか」――。クライアントから寄せられる要望は多様だが、その根底にあるのは、製造効率を高め生産性を向上させたいという、ものづくりの現場に共通する思いである。ケーシングが長くなれば、充填機への差し替え回数を減らすことができる。充填スピードが向上すれば、限られた時間の中でより多くのソーセージを製造することが可能になる。原材料価格の高騰により小売価格の上昇が続く現在、こうしたコストカットにつながる改良は重要なテーマだ。製造部では、食の安心・安全や楽しさの追求に加え、エシカルなものづくりにも日々取り組んでいる。
「効率化や生産性を求めているのは、私たちも同じです。工程をスムーズにするために機械の部品を改良したり、工夫を重ねて加工助剤の使用量を減らしたり。改善できる点がないか常に製造ラインを見直しています」と飯塚は語る。「より良いものを無駄なくつくることは、気持ちのいい仕事です。私たちからお客様へと続く企業努力のリレー。その先にいる消費者によろこびを届けたいですね」

食卓の景色を変える
ケーシング。

“タコさんウインナー”やキャラクターがプリントされたソーセージ、棒付きフランクフルト。ニッピのコラーゲンケーシングは、さまざまな商品に採用されている。「お肉が苦手なお子さんも、これなら食べてくれるかもしれない」と、スーパーなどの売り場で、自身が手がけたケーシングの商品が手に取られるのを見ると、誇らしい気持ちになるという飯塚。「手に取ってくださった方には、『それ、コラーゲンでできているんですよ。富士宮でつくっています。安心して食べてくださいね!』と、つい言いたくなってしまいます(笑)」
現在、富士宮工場では、これまでになかった大口径のコラーゲンケーシングが完成に近づいている。難しいといわれていた挑戦だったが、製造設備を改良し、まずはサンプルの完成にこぎ着けた。「当初はサラミ用を想定していましたが、ハムに使ってみたいというお客様もいらっしゃって。新しい挑戦には、気づきや新しい出会いがあって勉強になります」
コラーゲンの可溶化技術によってニッピのコラーゲンケーシングが誕生してから、60年近くが経とうとしている。その歩みの中には、技術の進化だけではなく、食卓に広がる新しい景色があった。技術を磨き、今をより良くし続けてきた製造部の努力と情熱が、これからのニッピケーシングをつくり、未来の食卓へとつながっていく。
PROFILE

飯塚孝/コラーゲン事業部 製造部部⻑。
学⽣時代に医療系研究補助を経験するも、機械いじり好きが⾼じて製造の道へ。